カンパニュラの花を遠くの知らない地へ
瞼の裏には優しいあなたの姿が滲む
燻んだ手紙の封は開けないままで
残された者は心を捨てた様に笑う
「さよなら」あなたの熱を帯びた耳に囁く
触れたならあの日はもう
此処に戻らないかもしれない
振り向き靡いた髪が揺れて
儚い幻を見せるの
すっと消えたはずの手の熱が象られて残る度に
色褪せた想い出をも映すフィルムを手に取る度
心が傷んでいく…
触れたらあの日はもう此処に戻らないかもしれない
振り向き靡いた髪が揺れて儚い幻を見せるの
このままあなたの熱が帯びていた手に触れて
罅割れたあの日はもう
形を成す事すらしない
冷えきった唇に触れて